伊勢海老の踊り
新鮮な身肉の食感と味は特筆物。
黒毛和牛の代表格、佐賀牛ふんだんに使った焼肉処・炙樂(しゃらく)。今回は酒肴にピシャリなヤツらをご紹介しよう。
まずはレバ刺しにセンマイ刺し。レバーは鮮度が命で日が経つとワイン色からドス黒に変色。味わいも甘味が損なわれるだけではなくクセを感じる上、食感もザシザシ感がなくなりくたびれたペラペラ状態に…。こうなってしまうと、いくらレバ好きでもムニュムニュと作業っぽく食さざるを得なく、残念ながらこの日のレバーは臭みこそないにせよ甘味やザシザシとした小気味良い食感は得られなかった。
センマイは中々に良く、シャッキリとした歯ざわりを愉しむことができた。炙樂ではオレンジ色のタレと共に供されたがセンマイはポン酢と決めている。色々言って申し訳ないが切っつける幅をもう少し太くすると旨味が増すと思うのだがどうだろう。
次はホルモン。“ホルモン”と書かれていたがシマ腸(大腸)は見当たらずプッカリと浮かんでいたのは丸腸(小腸)ばかり。専門店であれば別々に分けて表示して欲しい。味わいも甘さが足りず、こちらの方も納得できなかったから、レバ刺しも含め再来時に確かめてみたい。
次はミノ。ご存知の方も多いと思うが牛には胃袋が4つある。ミノ、ハチノス、センマイ、ギアラと続くのだが正確に言うとギアラを除く三つは食道に当たるらしい。このミノの特徴は何と言ってもその食感…コキュっとした歯応えは酒の他にはあまり口にすることのない呑兵衛にとって唯一マイペースを刻ませるアイテムと言って良い。
ただ、次のテールのトロトロ煮はとにかくマズイ。“マズイ”と聞いて“ダメか”と思った方がほとんどだと思うが記者が言っている“マズイ”は決して味わいのことではない。
フルンとした口当たりとシッカリと染み込んだ濃い目のタレが合わさった様は焼酎を過剰に進ませ、せっかくミノで作ったマイペースもオジャン…すみませ~ん、焼酎もう一本!
でっ、記者イチオシの酒肴肉料理がタンユッケ。タンモトを細切りにして石垣状の器を作り甘辛ダレと卵黄を閉じ込めたフォルムは見た目から楽しい。
味わいもタンの甘さ、タレのコク、卵黄のまろやかさが重なり合いベリーベリウマ。記者は通常、肉を生で食さないのであるが、タンモトともなれば話は別…騙されたと思ってぜひ一度お試しあれ。
最後は〆の一品、韓国冷麺。“冷麺”と注文すれば“冷やし中華”が出てくる佐伯市で“ふつうの冷麺”があるのは嬉しい。
グイングインの麺を啜りまくって噛み締めまくる…跳ね返す弾力の面白さに思わず顔も微笑みまくり。もちろん、酸っぱアッサリな味付けゆえ、食し終わったころには最初からやり直したい気分でイッパイになっていることは言うまでもない。
さて、佐賀牛を惜しみなく使った焼肉処・炙樂。記者的にはレバーや丸腸などのホルモン系に若干の弱さを感じたが、この他にも色々なアイテム(霧島黒豚や宮崎地頭鶏など)が控えているようで…またもや酔っ払い料理記者のメタボ促進を手伝ってくれる店がひとつ増えたことだけは間違いなさそうだ。(おわり)
撮影場所 大分県佐伯市 焼肉処・炙樂
石鯛の値段は200万円也……これは石鯛一匹の値段を指すのではなく、石鯛を本命にした場合の総費用で、中々に揚がらないという比喩である。今回は磯専門の釣り人なら一度は揚げてみたい磯の王者・石鯛。
石鯛というと真鯛の仲間であるかのように聞こえるが、実は甘鯛や金目鯛などと同じ“あやかり鯛”で種類はまったく違う。味の方もクチバシのような頑丈な歯でサザエ、アワビなどを主食としているため実にワイルド…身肉自体からも磯の香を放つ。
さて、そんな磯の王者をこの日は鮨にしてもらった。ザシっとくる食感や太い味わいは繊細な真鯛のそれではなく荒々しい。酢飯との相性も抜群でいっぺんに気に入った。ここで“石鯛”なる文字を見つけたら、すかさず鮨にしてもらうことを薦める。塩と柑橘系を垂らして味の変化を愉しむことも忘れずに。
撮影場所 大分県佐伯市 居酒屋・先の瀬
ミッション“佐伯イタリアンウォーク”4軒目はリストランティーノ ・シマ。ここは“黒”を貴重としたムーディーな空間で、シットリと食事や会話をしたいという方には特にオススメ。ワインレストラン&バーとしての実力もさることながら、ワインや料理の説明を丁寧に教授してくれるソムリエシェフも味わいの一つで、とにかく居心地が良い。
でっ、早速料理。最初は佐賀豚のミラノ風カツレツ。カツレツの名称はイタリア料理のコトレットがナマったか間違ったかで伝わったものなのだそうだが、ここから派生した料理(豚カツ、エビフライ等)は数知れず、まさに“揚物の祖”と呼べる一品だ。
味わいはザックリとした歯応えのあとにジューシーな佐賀豚の旨味がホンノリ伝わってくる優しい仕上がり。一緒に添えられたレモンを軽めに絞って食すと、スッキリした香りとともに甘味も引き出され味の奥行きを広げてくれる。これからいくと豚カツも塩とレモンだけで良いような気がしてくるのは記者だけではないはずで……“モロ・カツ”こういう感じもたまには良い。
次、リポガールLが頼んだ日向鶏の赤ワインビネガー煮 ゴボウのアラビアータ添え。この料理はネーミングから“ガチ・イタリアン”な印象を受けるが、まず最初にくるのは朴訥(ぼくとつ)とした“和”の香り。
これは一緒に添えられたゴボウのアラビアータが醸すものだが、ザックリの食感と若干のチリ辛がアクセントとして丁度良い。メインの日向鶏の方もネットリとした仕上がりながらしつこさは皆無で最後まで飽きがこない。
こういう料理はすべて“ケチャップのような”とやってしまう記者だが、他に例えようがないから仕方ない。まあ、付け加えるなら酸味のカドが取れて丸くなった感じとでも言おうか…イタリアンを表現するのは難しい。
さて、最後はワイン。これも記者にとってはとても表現が難しいジャンル。今回頂いたのはマストロ・ベラルディーノのマストロ・ビアンコ・カンパーニャ。果実というよりもトマトやセロリなどの野菜っぽい酸味を感じる白で、口に残るのは“青い味わい”と言ったところか。
ソムリエシェフに感想を述べたところ、一瞬固まったのち“グレープフルーツのような味わいと言いたかったんじゃないですか?”とフォローしてくれた。やはりイタリアンを表現するのは難しい。(つづく)
撮影場所 大分県佐伯市 リストランティーノ ・シマ

もうどれくらい迷える子羊を救ってきたのだろう。別府の不夜城とは一線を画するブロックに佇む Bar&Living MILKHALL。カウンター、ボックス、ラウンジと様々なシチュエーションに応えてくれるキャパシティーをオーナーバーテンダー他3名で取り仕切る。

記者が酒場に入るときは何人で行っても必ずカウンターに陣取る。スタッフとの掛け合いが容易な上、キレの良い“仕事”を見るのも愉しみの一つだからなのだが、特にここのオーナーバーテンダーはどんな客に対しても紳士的なスタンスを変えることがないようで、若輩者にも一人の男して語りかけてくれる。あいづち、微笑み、ツッコミ…あっ、たまに右から左へ受け流されることはあるがシッカリと空気は読んでいる。
でっ、そんな心地よい気分のなか最初に頂いたのはブランデーベースのカクテル、サイドカー。フルーティーだが、鈍角な甘味を持ち“酒前酒”としてのポテンシャルがとても高い。アルコールに強くなってきた最近の女性達にはスクリュードライバーよりもこちらを“仕組む”ことをオススメしたい。
次はブランデーのPaul Giraud(ポール・ジロー)、グランドシャンパーニュ生まれのコニャックだ。鮮烈な香りにドッシリとした味わいは、この手の酒に疎い記者にも“本物”を感じさせるには充分で、是非とも現場で実況検分を。
あと、酒のアテも充実している。ブルーチーズやパスタにピッツァといったイタリアン料理(マスター手作り)が色々と用意される。
下手なカラオケ、下品なハシャギ声…その他すべての雑音をかき消したい方は皆ココに来ると良い。現実という名の乾いた砂漠から解放してくれるオアシス的な場所となることはまず間違いない。
撮影場所 大分県別府市 Bar&Living MILK HALL
人間にとって“幸せ”とは何ぞや?たま~にそんなことを考えるときがある。仕事をしているとき、趣味をやっているとき、恋人や家族と一緒に居るとき……人それぞれに色々な幸せがあると思うが、今の記者にはジックリ、ユッタリと酒に浸れるときがそれに当たる。
昨夜は久々に居酒屋・ひかるを訪れた。まずはお決まりの生ビール。ジョッキでドンと出される瞬間がこれから始まるソロステージの開始の合図。アテたのはタコの唐揚げ、通称“タコカラ”と呼ばれているやつだ。サク・グニュした食感は軽く、ビールのシュワシュワしたノド越しを求める。ジョッキ2杯など10分でなくなる。
ビールを良いだけやったら次は焼酎。二階堂むぎ五合瓶と一緒に頼んだのは馬たん刺し。

ギョリっとした食感に加え、ニンニクの太い風味とベリーワイルディーな肉の旨味が重なり合った様はふつうの馬刺しとは一味違っており、酒肴としてのポテンシャルは間違いなく上…大分県佐伯市でこれをいつも味わえることは誇らしい。
でっ、どうしようもない酔っ払いを作るための最終兵器は珍味、今回セレクトしたのはホタルイカの沖漬け。 甘・塩っぱい味わいのあとから内蔵のコク・苦い風味が追いかけてきて…酒と語り合うには最高の友だ。
人間にとって“幸せ”とは何ぞや?今の記者にはジックリ、ユッタリと酒に浸れるときがそれに当たるのだが……そろそろ違う幸せも味わってみたい。
撮影場所 大分県佐伯市 居酒屋・ひかる
スズキと言えばタイやヒラメに比べ高級なイメージはあまりなく、ルアーフィッシングで人気のある魚…といったイメージが強いのだが、夏場のスズキは中々にいける。記者も何度か食したことがあるが、アッサリながらも仄かに広がる旨味は及第点で、夏のおしながきにあれば間違いなく頼むであろう一品だ。
ただ、今回ご紹介するのはそのスズキではなく亜種の方、希少さと味わいが上ということで高級魚に位置付けされるヒラスズキ刺し。
供された瞬間、目に飛び込んでくる清涼感は他の白身と同様だが、味わってみると明らかに“違い”を思い知らされる。甘味のあとに広がる旨味は“強烈”というと行き過ぎだが “仄か”と言うと物足りず、一本調子の味わいを持つ物とは一線を画す。
揚がったばかりの物か確かめていないが、食感はハニっとしており丁度良いしなやかさ。良く“刺しは獲りたてでコリコリしていないと旨くない”と言う方が居るが、旨味が全身に行き渡るには時間を要する。どんなものにも熟成期間というのは必要なのだ。
さて、今回食した高級魚ヒラスズキ、実はもう少し先の冬が旬なのだとか……寒いのは苦手だが、食い物のためなら例え火の中、水の中、寒くなるのも苦にならぬ。
撮影場所 大分県佐伯市 肴屋・吾八