休日の夕方、トラブル発生、会社からエマジェンシー・コール。キツイなー…っと思いながら渋々会社に向かった。結構複雑なオペレーションにイライラしていた17:30。あと5分で終了だ、あと5分で……5分が、長い…。
だが、トラブルの対処を終えるころには妙に清々しい気分になっていた。やはり人のために流す汗は気持ちがいい。どうせ外に出たのだからと、ついでにスーパーへ買い物に行った。
入店するや否や、自分の目を疑う。こんなところに置いておくには勿体ないほどの見事なタネをまとった鮨が、記者を待っていたかのように鎮座していた。

マダイ、イカ、ホタテ、エビの踊り、カンパチ、穴子、サーモン、ウニ、イクラ、中トロ(残された鮨パックは4つ、その内2つはワサビ抜き、残りの1つのマグロは赤身)。おそらく、どこやらの鮨屋で握られたものなのだろうが、鮨ダネがよく、家でとる夕食にしては贅沢な1,200円。悩んでいる間も鮨達は“安いよ安いよ”と記者を呼び続ける。
悩んだ、迷った、悩んで迷ったが誘惑に負けて、そっと手に取り買い物カゴの中へ。するとどうだろう、次の瞬間、男性店員が他の鮨パック達に売りつくしのための半額シールを貼っていくではないか。記者は即座に自分の鮨パックに目をやり、半額シールが貼られていないことを確認した。
“これはいかん、これはいかんよワトソン君・・・”と訳の解らないことをつぶやきながら、おもむろに買い物カゴから寿司パックを取り出し、男性店員に向けアピールした。
記者 「すみません、これも半額にして下さい…」
恥ずかしい…恥ずかしいぞ、それでも料理記者か!やめておこう、やっぱりもういいですと言うんだ!いや待てよ、半額だ、1200割ることの2…600!この鮨が600円で喰えるのだぞ!心の中で自問自答を繰り返す。
そんな放心状態の記者を見て、男性店員がニコリと微笑みながら静かに答えた。
店員 「いいですよ!」
温かかった、有難かった、嬉しかった。その店員の天使のような声に記者は…
「助かります…」
そう一言だけ感謝の気持ちを述べると、跳び上がって喜びたい気持ちを抑え、イソイソと足早に店を後にした。
こういうことだ…こういうことなのだ、これが世にいう“情けは人のためならず”というやつなのだ。もし、トラブルが発生していなければ、もし5分早く店に行っていれば、このような恩恵は受けられなかった。
男性店員さんありがとう…あの時、あの瞬間に半額シールを貼りに来てくれてありがとう。神様ありがとう…あの時、あの瞬間にトラブルを起こしてくれてありがとう…。
この話を信じられる方は、試しに人のために何かやってみると良い。気持ちがとても清々しく良い感じになる。もちろん、そのあとスーパーに行き、鮨コーナーへと直行しなければならないことは言うまでもない。
※男性店員さんに良いことがありますように(合掌)