大分県で宇目来々軒といえば知る人ぞ知る名店で、“まさかこんなところで”と思わせるような場所で営業していた風変わりなラーメン屋だ。店主が佐伯の老舗、藤原来々軒で修行されたことは今更記者がご紹介するまでもないが、ただ、味わい的にはそれのみを頑なに伝承しているという訳ではなさそうだ。
そんな宇目来々軒が昨年、突如として店を畳む。ブロガーの間でも色々な憶測は飛び交ったが、どうやら今回の営業スタイルへ“羽化(店名は326来々軒と改め)”するための充電期間だったようで、カスタムカーによるラーメン屋、これなら文字通り色々なところに飛んで行き“どニンニク豚骨”を振舞える。
でっ、その実力だが……プラスチック容器も手伝って見た目はかなりシンプル。具もチャーシュー、刻みネギ、ゴマとスタンダード。ただ、スープを一口啜った時点であるラーメン屋の名前が頭をよぎる。“上海だ”。佐伯には昔、上海ラーメンという伝説的な店があったが、太いニンニクの風味と良い、ドッシリと居座る豚骨フレーバーと良い、強引に後をひく味わいに過去の記憶を呼び覚まされる。
麺も上海チック……というか佐伯ラーメンでは“基本”の中太緩(ユル)で、口当たりがメチャクチャ優しい。ラーメンに限らず麺料理はとかく“硬さ”を好しとする傾向がある。かく言う記者もラーメンは“細麺硬”、うどんは“讃岐”、スパゲッティは“アルデンテ”とそれが全てであるかのように“硬さ”に走っていたが、佐伯ラーメンの食べ歩きをするようになって“緩さ”の魅力に開眼。硬さがノド越しなら、緩さは口当たりを愉しめば良いのだ。
また、メニューには謳っていないがスープの味付けを“濃い味”にしてもらうこともできる。初めての方はデフォルトが良いと店主は言っていたが、“いきなり”その本質に触れたい方は“タレと油を濃い目で”とコールされよ、佐伯んラーメン喰いならきっと満足するに違いない。
“岸壁で命を試すラーメン屋(ラーメン加代)”に続いて海の青を感じられた今回の取材……人生の愉しさは特別な所に存在するのではなく、見つける気になればそこはかとなく普通に転がっているのかもしれない。
撮影場所 大分県佐伯市 326来々軒
取材日 平成22年2月6日
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